酢と食事を一緒にとると脂肪がつきにくくなる!
在宅ワークで体重増加に悩む人が増えてきています
年齢を重ねるにつれて、なかなか減りにくいのがお腹の脂肪です。また、新型コロナウイルスの蔓延で在宅ワークが増え、外出する機会も減っている方が多いのではないでしょうか。ある会社の調査によると、新型コロナウイルスの影響で60%近くの人が以前よりも体重が増えたという結果がまとまっています。
1日の歩数の変化を見てみると、1月には1日8,000歩以上歩いていた人の割合は34%であったのに対し、4〜5月には21%に減少、また3,000歩未満の人は1月には14%であったのに対し、4〜5月には28%にも上っています。
新型コロナウイルスの重症化リスクの大きな要因の一つに「肥満症」が挙げられています。特にアメリカやヨーロッパでは、糖尿病や高血圧などの因子よりも肥満が重症化の大きな要因になっているという研究が次々に発表されています。
新型コロナウイルスに感染して重症化したイギリスのジョンソン首相は、ご自身が肥満によって症状が重くなった経験を踏まえて肥満対策に乗り出しました。ジャンクフードのテレビでの広告を禁止するなど、その取り組みが広まっています。日本人はもともと肥満者が少ないのですが、これからの新しい生活習慣の中で日常的にできる肥満予防対策が欠かせません。
酢に含まれる酢酸が脂肪の蓄積を抑えてくれます
そのヒントは、発酵食品に含まれる有機酸にあります。実は、有機酸の一種である「酢酸」は直接脂肪に働くことで体に脂肪をつきにくくする作用が報告されています。そして、この酢酸を豊富に含むのが「酢」です。
酢には従来、血圧を低下させる作用や、コレステロールを低下させる作用などが知られています。さらに、酢に含まれる酢酸には、体に脂肪が溜まるのを防ぐ働きと脂肪の燃焼を促す働きがあるのです。普段、私たちが糖質を摂取すると、余った糖は脂肪に変換されて体脂肪として蓄積されます。でも、酢酸が肝臓に到達すると、酢酸の代謝が優先して行われるため糖を脂質に変える回路が抑制され、脂肪の蓄積が抑えられることがわかっています。
175名の健康な男女(BMI:25-30)を対象に、15mLまたは30mLの食酢を含んだ飲料(薄めて500mLにした飲料)を、朝と夜に半量ずつ12週間にわたって飲用する試験が行われています。その結果、食酢を含む飲料を飲んだ群ではどちらもプラセボ(偽薬)に比べて内臓脂肪と総脂肪が、30mL群では皮下脂肪が有意に減少しました。
酢の効果を続けるには、毎日少しずつとり続けることが大切です。炭酸や牛乳で割ったり、料理に使ったりすることもおすすめです。酢にはリンゴ酢や米酢、黒酢などいろいろな種類がありますが、含まれる酢酸の量に大きな違いはありませんので、ご自身の好みにあった酢をお選びください。
(参考文献)
BBB. 73, 1837-1843 (2009)