『亜麻仁油とえごま油の違いは?』
オメガ3系オイルの代表格と言えば、亜麻仁油とえごま油。
よく「亜麻仁油とえごま油はどちらが良いですか?」という質問をいただきます。
きっと皆さんも質問されたことがあるのでは、と思うので、今回はふたつのオイルの違いと選び方につ
いて書きますね。
結論から言うと、どちらが良い悪いではなく、目的に合わせた選び方があります。
具体的には、脂肪酸を摂ることが目的なのか、それとも脂肪酸以外の微量栄養素を摂ることが目的なの
かで異なります。
まず、亜麻仁油もえごま油も主成分はどちらもオメガ3脂肪酸の一種のα-リノレン酸という脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸にはα-リノレン酸、EPA、DHAが、オメガ6脂肪酸にはリノール酸、γ-リノレン酸、
アラキドン酸などがあり、広義ではこれら全てが必須脂肪酸とされていますが、オメガ3のα-リノレン
酸はEPAやDHAへ、オメガ6のリノール酸はγ-リノレン酸やアラキドン酸へ変換されるので、狭義で
はα-リノレン酸とリノール酸だけが必須脂肪酸になります。
ですので、この2つは必ず外から摂らなければならない重要な脂肪酸なのですね。
どちらも欠乏すると、まず皮膚の状態に異常をきたし、肌荒れや乾燥肌、皮膚疾患になりやすくなりま
す。
オメガ3とオメガ6はバランスが重要なのですが、現代食はオメガ6脂肪酸を多く含むものが多いので、
脂質を意識しない食生活だと、どうしてもオメガ6過多・オメガ3不足でバランスを崩しがちです。
このような背景から、手軽にオメガ3を補える亜麻仁油やえごま油が注目されるようになりました。
α-リノレン酸の含有量は原料の品種や栽培環境、また製造過程によっても多少異なるので商品ごとに多
少の違いはありますが、大まかには亜麻仁油が55%前後、えごま油が60%前後になります。
因みに他のオメガ3系オイルにチアシードオイル、サチャインチオイル、カメリナオイルがあり、
α-リノレン酸含有量はチアシードが約60%、サチャインチが約50%、カメリナが35%ほどです。
オメガ3系オイルを摂る目的が、α-リノレン酸をとり入れることであるならば、α-リノレン酸の量に
応じて選べば良いと思います。
もう一歩進んだ選び方として、「脂肪酸以外の微量栄養素による選び方」があります。
これは亜麻仁油やえごま油に限らず全ての植物油に言えることですが、植物は私たち動物のように動く
事が出来ないので、生きていくために様々なファイトケミカル(植物栄養物質)を作り出します。
圧搾法で搾られたオイルには微量ながら脂溶性のファイトケミカルが含まれます。脂溶性のファイトケ
ミカルは微量であっても強い作用を持つものが多いため、オイルの特徴となって表れる事があります。
亜麻仁油の原料である亜麻の種子にはリグナン類が多く含まれます。中でも亜麻の種子にもっとも多い
のがSDG(セコイソラリシレジノール・ジグルコシド)で、これは腸内細菌の働きによって女性ホルモ
ンのエストロゲンに似た構造になり、エストロゲン様作用を発揮するため乳癌予防効果や骨粗鬆症予防
効果が期待されています。
えごま油の原料のえごま種子にはロスマリン酸やルテオリンという強力な抗酸化・抗炎症物質が含まれ
ます。更にルテオリンは強力な抗アレルギー作用があり、ロスマリン酸はアルツハイマー予防に役立つ
事が動物実験で示されました。
これらのファイトケミカルはいずれも原料の種子に多く含まれるものの、オイルの製造過程で大幅に失
われます。ただゼロになる訳ではなく製造方法によっては微量残るので、ファイトケミカルの作用を目
的としてオイルを選ぶ場合は、圧搾法で精製度の低いものを選ぶと良いでしょう。
亜麻仁油やえごま油でオイルの瓶の下の方に澱が溜まるものがありますが、これは精製度の低さを表し
ています。
また精製度の低いものは植物特有の香りや苦みなども残っています。亜麻仁油の苦みやえごま油の独特
な風味は、まさにファイトケミカル。
毎日食べて欲しいので味が苦手な方にはお勧めしませんが、味が好きならば、植物の恵みがそのまま
入った精製度の低いオイルをお勧めします。
亜麻仁油とえごま油の選び方をまとめると、
・α-リノレン酸を摂るのが目的ならば亜麻仁油でもえごま油どちらでも良いし、香りや苦みを抑えた精
製油でも良い。
・α-リノレン酸の作用にプラスして、以下のファイトケミカルの作用を期待する場合は精製度の低いオ
イルを。
亜麻仁油→女性ホルモン様作用
えごま油→アルツハイマー予防、アレルギー予防・改善
ぜひオイル選びの参考にしてみてくださいね。