インナービューティプランナーのワタナベフミコです。
日本に暮らしているのだから、日本の伝統をもっと知ってほしい!
本日ご紹介するのは、協会公式1day講座「インナービューティ酒かす講座」でもお馴染み、『西山酒造』様です。兵庫県丹波篠山、160年の伝統を持つ酒蔵の見学模様をお届け致します。
■俳句に囲まれた丹波の酒蔵 〜ここに美酒あり〜
西山酒造場様三代目の時代、俳句を通して親交が深くかった俳人の高浜虚子(たかやまきょし)が「ここに美酒あり 名づけて小鼓といふ」の句とともに、雑誌「ホトトギス」の発行所で日本酒を販売し、全国に広まったそうです。実は日本酒「小鼓」は高浜虚子が名付け親。蔵内にも俳句が散りばめられてあり、深い関わりを感じられる酒蔵となっています。
■酒造りを続けるために
女性、外国人。とてもユニークな蔵人(くらびと)が働いている酒蔵。かつての日本酒づくりの担い手は、冬に農作業が休み中の出稼ぎ人。しかし、農家が減り人の確保が難しく存続でず廃業する蔵も多いそう。時代に合わせて変化しないと伝統を絶やすことになる。日本酒以外も製造、空調管理することで一年を通して酒造りが可能な四季醸造の蔵となり、働いてもらえる環境を整えることで、人も育ち蔵も守られていました。
■5年前の土砂災害でも守られた大切な「井戸」
酒造りにおいて大きく味を左右する「水」。とても柔らかい仕込み水は、竹田川の伏流水で蔵の敷地内に井戸があります。5年前に大規模土砂災害があった時も、この井戸は奇跡的に守られ貴重な水が美味しいお酒を生み出しています。
■解憂境から先は・・・
蔵の入口にある大きな石碑。解憂境(かいゆうきょう)と刻まれた文字は「心の憂いをとる境目」という意味。ここから先、蔵人たちがお酒のことだけを考えて望む神聖な場所。今回はその場所に入れていただき見学です。
・甑(こしき)
酒造りは、米を洗い、甑(こしき)で米を蒸します。蒸す時に、お米が焦げないようにするダミー米なるものがあることは、実際に見学に行かせてもらわなければ分からなかったこと。
・麹室
蒸した米は麹室で温度管理され35度以上の室内で、3日間かけて米麹にしていきます。甘みを出す糀を作るのが酒蔵で、旨味を出すのが味噌蔵の糀。そうなると、酒蔵の麹の方が甘みが強い甘酒を作れるということになりますね。
・酒母室(しゅぼしつ)
お酒を仕込むときに、小さなタンクから始めるそうです。米、水、米麹、酵母を入れて酵母を増やすそうですが、あわあわした酵母が頑張っていました。麹菌が米を食べて糖を作り、酵母菌(微生物)が糖をアルコールと炭酸ガスに変えてお酒が出来ていきます。
・仕込み部屋
酒母を寒い仕込み部屋の大きなタンクに移して約二週間ほどかけて本格的な仕込みが開始します。泡がぷくぷく、発酵して酒の完成を見守ります。
・搾り
完成後、もろみを「優しく」搾り酒と酒粕に。だから酒粕はお酒の風味が残って美味しいのですね。搾ってから一週間以内に瓶されてフレッシュなお酒が、私たちの手元に届けられるそうです。
■捨てられない!お洒落なボトルたち
豊富なラインナップのボトルラベルデザインには芸術家の綿貫宏介(わたぬきひろすけ)作。西山酒造場様5代目の代から内装やラベルデザインされ、作家ファンが西山酒造様を訪ねてくることもあるそうです。図柄はどれもお洒落で、美味しく頂いた後もインテリアとしても楽しめます。
古き良き伝統を残し、新しいデザインを取り入れる、現代に溶け込んだ蔵元様。
これからも発酵と伝統を応援したいです。
■蔵情報(2020年2月25日訪問)
西山酒造場
〒669-4302 兵庫県丹波市市島町中竹田1171
TEL0795-86-0331(代表)※蔵見学は3日前までに予約