『NHKでのあぶらの特集』
今年に入って既に2度、NHKであぶらの特集がありました。
一つが8日のあさイチという番組の「美と健康! アブラの新常識」、もう一つがNHKスペシャル食の起
源という番組の「脂~発見!人類を救う“命のアブラ”~」です。
どちらもとても分かりやすくまとまっていて、録画して講座の資料に使いたいほどでした。特に今まで
の油やオイルの特集と大きく違ったのが、終始オメガ3とオメガ6のバランスの重要性についての話
だったこと。
更にそのバランスの理想値として、厚生労働省の食事摂取基準から割り出すとオメガ3:オメガ6=1:4
~5のところを、今回の番組ではどちらも1:2を理想値としていました。この数値は、九州の久山町で
40歳以上の男女3,000人の血中脂肪酸と心臓病の死亡リスクを調べた研究の結果から得たもので、オメ
ガ3:オメガ6が1:1~1:2だと心臓病の死亡リスクが低く、1:2以上になると急激に心臓病の死亡リ
スクが高まることが分かっています。
また今回は脂肪酸の血液検査の話もあり、番組アナウンサーが脂肪酸検査を受けた結果、オメガ3:オ
メガ6が1:7.5と理想値から大きく外れていることが判明。スタジオでどよめきが起こっていましたが、
実は現代の日本人の多くは1:10ほどになっていると言われています。
実際に私がオーストラリアの研究所と提携して広めている自己採血の脂肪酸検査でも、1:2以下の方は
ほとんどいなくて、多くの方が高リスクの範囲内です。
このことは循環器の医師の中ではよく知られていて、このままでは今後更に心筋梗塞や心不全、脳梗塞
が激増すると危惧されています。
でもありがたいことに、この数値は少し食事を改善するだけで簡単に改善します。
先述のアナウンサーも食事指導を受けて4週間食事を変えて再度検査を受けたところ、1:1.14まで改善
していました。
実際に行った食事改善は、魚やオメガ3系オイルを積極的に摂ることと、揚げ物やお肉類を控えてオメ
ガ6系の脂肪酸を減らすことだけ。とても簡単です。
以前も何度か書いたかと思いますが、コレステロールや血圧、血糖値を食事で改善するのは、時間がか
かったり、場合によっては難しい場合もあります。
でも体内の脂肪酸のバランスを改善させるのは、オメガ3とオメガ6の摂取バランスを変えるだけです
ぐに結果が出ます。逆に言えば、摂取バランスが整わない限り、体内の脂肪酸バランスは整いません。
だからこそ、脂質は摂り方が大事なのです。
しかしながら、自分がどのようなバランスでオメガ3とオメガ6を食べているかを知ることはとても難し
いし、人によって吸収率も体内での脂肪酸の変換率も違うので、近年は血液中の脂肪酸を測るというこ
とがとても重要視されています。
私が日本で初めて一般向けに自己採血式の脂肪酸検査を導入してちょうど2年ほどになりますが、昨年
末には外資系の大手薬品メーカーが参入し、サプリメントの販売と絡めた事業を始めました。また今年
も日本の検査会社が同様の検査を始めるため昨年から準備をしているようです。
私の最終的な目標は、「血圧や体温の様に測る事が当たり前になること」「すべての人が自分自身の脂
肪酸バランスを把握し、食で整えられること」なので、脂肪酸検査を受託する検査会社が増えることは
とても嬉しいことですが、一方でその検査をサプリメントを販売するためのツールとなってしまうのは
残念だな、と感じています。
まずは体内脂肪酸のバランスを知ること、そして崩れている場合は、出来る限り毎日の食事の中で改善
していくことが望ましいと思っています。
そのためには食や栄養全般の知識を持ったみなさんのような存在が必要です。
今後脂肪酸検査が広まるにつれ、必要度も高まる分野だと思いますので、ぜひ脂質に関する知識も深め、
一緒に広げていただけたら嬉しいです。