「食の仕事に必要~食品衛生責任者の資格について~」 津島よしえ
次の事柄について正しい回答を知っていますか?
- 布巾やスポンジの煮沸消毒のやり方(温度・煮沸時間)
- 食中毒の原因となる細菌が繁殖しやすい温度
- 細菌を繁殖させないための正しい解凍方法
- 包装された加工食品の表示に必要な項目(食品表示基準に沿ったもの)
実は仕事として食を提供する際には、沢山のルールや規定を理解して守る義務があります。
背景には、食中毒の発生の平均が近年、年間1,000件前後・患者数20,000人となっており、死者も出ている事が関係しています。
「食品衛生責任者」はカフェなど飲食店を経営する場合に必須となる資格ですが、この資格を取るために受講する講習会では食中毒を起こさないために必要な食品衛生の知識、商品を販売する時のパッケージの表示法、ゴミの処理、トラブルが起きた時の賠償等について学びます。店舗を持つ予定がなくても料理教室を行う、作ったものをマルシェで販売するなど食に関する仕事をする方にも必要な知識となります。
この資格は17歳以上であれば職歴や学齢などに関係なく、誰でも取ることが出来ます。また、全国の自治体が主催の公的な資格であり、有効期限はなく、最初の資格所得時以降、年会費など費用は発生しないため、食に関わる仕事に就いている方や今後希望している方は取っておく事をおすすめします。費用は昨年私が資格取得した際は10,000円程でした。
食品衛生責任者の資格をとるための講習会は、全国の都道府県で年に2回程行われており、主催者である食品衛生協会のホームページでスケジュールを確認出来ます。近年飲食店経営を希望する人が多く、人気の講習会のため定員に達するのが意外と早いようですのでご注意下さい。
講習会は、1日かけて「食品衛生関係法規」「食品表示法」「公衆衛生学」「食品衛生学」「ゴミの処理について」「食品事故と賠償責任について」「営業許可手続き」等を学びます。
私が受講した時には、講師の方に「とにかく死者を出さないようにして下さい」と繰り返しお願いされ続けました。それだけ、人に食を提供する事=リスクが高く責任重大だと痛感し、身の引き締まる思いがしました。
栄養士や調理師の免許を持っている場合は、同じ内容をすでに学んでいるため、あえてこの資格をとる必要はないようです。逆に言えば、どちらの資格も持っていない場合は食品衛生責任者の資格は必須だと思います。ルールを知らずに違法な事をしてしまうリスクを避けることが出来ますし、意外と衛生面に関しては「普段以上に丁寧にやろう、気をつけよう」と感覚的に行ってしまいがちですが、それでは十分とは言えません。
講習会で配布されたテキストは公的なものであり、間違った事は書かれていない安心感があり重宝します。また、公的な食の資格を持っていると周囲の人に信頼されやすく、自分にとっても自信になります。しかも1日で比較的簡単に取れる資格ですので、ぜひ挑戦してみて下さい。