【専門家ナビ】高畑宗明先生

海外でも有名な19のプレバイオティクス食材

 

私たちの腸内に共生している腸内細菌は、私たちが日々口にしている食事成分を栄養源として暮らしています。なかでも軟消化性成分である食物繊維は良好なエサとなります。このように腸内細菌によって分解・利用され、善玉菌を増殖させる食品成分をプレバイオティクスと呼んでいます。

海外のwebサイトでは、日本で手に入る情報以上に多くの食品成分がプレバイオティクス素材として掲載されています。今回はプレバイオティクスとして海外で紹介されている食品成分をご紹介いたします。

 

  1. チコリルート(根茎)

チコリルートはコーヒーのようなフレーバーがする食品です。チコリルートの食物繊維のうち47%はプレバイオティクスとして有名なイヌリンです。イヌリンは腸内細菌を育てて、消化機能を改善して便秘を解消します。また、胆汁産生を増加させ、脂質の分解を改善します。また、チコリルートは高い抗酸化作用を持つため、酸化ダメージから肝臓を保護します。チコリルートはしばしば、コーヒーのカフェインの代替としても使用されます。

 

  1. タンポポの葉

タンポポの葉は良質な食物繊維源として、サラダに使用されます。100g中に4gの繊維を含み、このうちイヌリンが主要な繊維源です。タンポポの葉に含まれるイヌリンは便秘解消効果、善玉菌増加作用、免疫刺激作用が知られています。

タンポポの葉はまた、利尿作用、抗炎症作用、抗酸化作用、抗がん作用、コレステロール軽減作用が知られています。

 

  1. キクイモ

キクイモは別名「大地のリンゴ」としても知られ、とても高い健康効果を持っています。100g中に2gの食物繊維が含まれる、76%がイヌリンです。

キクイモはチコリルートよりも腸内の善玉菌を増加させることが報告されています。

キクイモにはチアミンとカリウムが豊富であり、これらは神経機能を保護し、筋肉の正常な働きを維持します。また、免疫機能を強化し、いくつかの代謝疾患を予防する効果もあります。

 

  1. ニンニク

ニンニクは実はとてもテイスティなハーブであり、様々な健康効果があります。11%の食物繊維はイヌリンであり、6%はフラクトオリゴ糖と呼ばれる天然のオリゴ糖です。ニンニクは腸内のビフィズス菌を増加させ、悪玉菌を抑制させる効果があります。

また、ニンニク抽出エキスは心臓病のリスク軽減に効果を示す可能性があり、抗酸化作用、抗がん作用、抗菌作用があります。こうした作用は喘息にも効果があります。

 

  1. タマネギ

タマネギはとても万能な野菜であり、健康効果も期待されています。ニンニクと同様に、10%の繊維がイヌリンであり、6%はフラクトオリゴ糖からなります。フラクトオリゴ糖は腸内細菌を育て、脂肪の分解を助け、細胞中の一酸化窒素の産生を増加させることで免疫システムを刺激します。

タマネギはフラボノイドの一種であるケルセチン含量が多く、抗酸化作用や抗がん作用の特性を付与している。さらに、タマネギには抗菌作用があり、循環器系に対して有用な効果を発揮する可能性があります。

 

  1. リーキ(西洋ネギ)

リーキはニンニクの仲間で、同様の健康効果が期待されています。リーキには16%のイヌリンが含まれています。

また、リーキにはフラボノイドが豊富で、抗酸化作用が高いことが知られています。ビタミンKも豊富に含み、心臓や骨に対して良い影響を与えます。

 

  1. アスパラガス

アスパラガスもプラバイオティクスとして有名な野菜です。イヌリン含量は100gにつき2-3g程度ですが、善玉菌を増やしいくつかの抗がん作用を持ちます。

アスパラガスに含まれる繊維と抗酸化物質の組み合わせにより、抗炎症作用を発揮します。また、アスパラガス100g中には2gのタンパク質も含んでいます。

 

  1. バナナ

バナナは、ビタミン、ミネラル、繊維が豊富です。これまでの野菜と比較してイヌリン含量は少ないです。一方、未熟なバナナ(グリーンバナナ)にはレジスタントスターチ(難消化性デンプン)が高含有であり、これがプレバイオティクス効果を発揮します。

さらに、バナナ中の繊維は善玉菌を増加させ、腹部の膨満感を軽減させることが報告されています。

 

  1. 大麦

大麦は有名な穀物であり、ビールを作る際にも使用されます。100g中に3-8gのβグルカンを含みます。βグルカンは消化管の善玉菌を増やすプレバイオティクス素材として注目されています。

大麦βグルカンはLDL-コレステロールを減少させ、血糖値低下にも貢献すると考えられています。さらに、大麦にはセレンが豊富なことも特徴です。セレンは甲状腺機能を助け、抗酸化作用、さらには免疫機能を強化します。

 

  1. オーツ

全粒のオーツはとても健康的な穀物です。βグルカンを豊富に含み、レジスタントスターチも含みます。オーツのβグルカンは良好な腸内細菌バランスを助け、LDL-コレステロールを低下させ、血糖値を安定させます。

また、オーツは消化をゆるやかにし、食欲を調整する作用があります。さらに、オーツに含まれるフェノール酸は抗酸化作用、抗炎症作用を発揮します。

 

  1. リンゴ

リンゴは繊維含量のうち50%ものペクチンを含有します。リンゴペクチンはプレバイオティクス効果を発揮し、善玉菌のエサとなることで短鎖脂肪酸の一種である酪酸の合成が促進されます。

リンゴはまた、抗酸化物質であるポリフェノールも高含有します。ポリフェノールとペクチンのコンビにより、消化管を健康にし、脂質代謝を改善し、LDL-コレステロールを低下させ様々ながんリスクを軽減します。また、抗酸化作用や抗炎症作用も持ちます。

 

  1. コンニャク

コンニャクはエレファントヤムとしても知られている塊茎です。この塊茎は40%ものグルコマンナン繊維を含みます。コンニャクのグルコマンナンは大腸の善玉菌を増加させ、便秘を解消し、免疫機能を強化します。

グルコマンナンは血中のコレステロールを減少させ、体重減少のサポート、炭水化物代謝改善に役立ちます。

 

  1. ココア

ココアは美味しい上に健康的です。大腸で分解されたココア豆の分解物は一酸化窒素を生み出し、これが循環器系に良い影響を与えます。また、フラボノイドの一種であるフラバノールは高いプレバイオティクス効果を発揮し、心臓にも良い効果を与えます。

 

  1. ゴボウ

ゴボウは日本でもよく使われる野菜です。100g中に約4gの繊維を含み、イヌリンおよびフラクトオリゴ糖が大部分です。これらは腸内の悪玉菌を減少させ、腸のぜん動運動を促進し免疫機能を強化します。

ゴボウはまた高い抗酸化作用、抗炎症作用、血糖値上昇抑制作用を持ちます。

 

  1. フラックスシード(亜麻仁の種子)

フラックスシードは高い健康作用を持ちます。また、良質なプレバイオティクス素材でもあります。フラックスシードの繊維含量は20-40%が粘性のガムから得られる水溶性食物繊維であり、60-80%はセルロースやリグニンからなる不溶性繊維です。

フラックスシード中の繊維は善玉菌を増やし、腸のぜん動運動を促進させ、脂質を減少し、消化吸収を助けます。

また、フェノール系の抗酸化物質を含むため、抗がん作用、抗酸化作用をもち血糖値を調整します。

 

  1. ヤコン

ヤコンはサツマイモにとてもよく似ていて、食物繊維が豊富です。フラクトオリゴ糖とイヌリンが豊富であり、善玉菌の増加、便秘解消、免疫機能の強化が特徴です。また、ミネラル吸収を助け、血中脂質を調整します。

フェノール系化合物を含み、抗酸化作用を発揮します。

 

  1. ヒカマ(葛芋)

ヒカマはカロリーが低いのにイヌリンなどの食物繊維が豊富です。ヒカマは消化を助け、インスリン感受性を高め、血糖値レベルを減少させます。

また、ビタミンC含量が高く、免疫機能を強化します。必須アミノ酸をバランスよく含むことも特徴です。

 

  1. 小麦の糠(小麦ふすま)

全粒の小麦穀物の糠。小麦ふすまもプレバイオティクス効果が高く、アラビノキシランオリゴ糖(AXOS)という特徴的なタイプの繊維を含みます。AXOSは小麦ふすま中の繊維の中で64-69%も存在し、ビフィズス菌を腸内で増やす効果があります。

また、小麦ふすまは膨満感や腹部の痙攣に伴う痛みの軽減に役立ちます。

 

  1. 海藻

海外では海藻はごく稀にしか食べられませんが、水溶性食物繊維を50-85%も含みます。海藻は善玉菌を増やし、免疫機能を強化して大腸がんリスクを軽減させます。

また、抗酸化物質も多く、心筋梗塞や脳卒中を予防します。

協会顧問・高畑宗明 博士

職   業 博士(農学) 岡山県岡山市出身。 岡山大学大学院にて博士号(農学)を取得。現在、腸内細菌や乳酸菌についての研究を続けている。 一般の方々や小学生への講演・食育セミナーを通じて、啓蒙活動を行っている。
保 有 資 格 【経歴】 株式会社バイオバンク 統括部長 博士(農学) 2009【年3月 岡山大学大学院(博士後期課程)卒業 博士(農学)取得 2013年〜14年 麻布大学共同研究員 【業績】 ・論文発表 M. Takahata et al, OM-X®, a Fermented Vegetables Extract, Facilitates Muscle Endurance Capacity in Swimming Exercise Mice. Nat Prod Commun. 12, 111-114 (2017) M. Takahata et al, Fermented vegetable and fruit extract (OM-X®) stimulates murine gastrointestinal tract cells and RAW264.7 cells in vitro and regulates liver gene expression in vivo. Integrative Medicine. 4, 1-5 (2017) M. Takahata et al, OM-X®, Fermented Vegetables Extract Suppresses Antigen-Stimulated Degranulation in Rat Basophilic Leukemia RBL-2H3 Cells and Passive Cutaneous Anaphylaxis Reaction in Mice. Nat Prod Common. 10, 1597-1601 (2015)
ブ ロ グ
得意ジャンル 【書籍執筆】 「腸内酵素力で、ボケもがんも寄りつかない」 講談社+α新書 「自分史上最高の腸になる! 腸で酵素をつくる習慣」 朝日新聞出版
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