出汁コラム「日本だから美味しいお出汁が引ける2つの理由」
こんにちは。京都にてお出汁の料理教室をしておりますインナービューティープランナー
峰村咲子です。
お出汁は発酵と同じ日本の大切な文化です。
和食は、お出汁を引くことから始まり、お出汁がなければ作れないと言っても過言ではあ
りません。
引き方に正解はなく、京都の老舗料理店でもそれぞれ使う昆布が違い、引き方もそれぞれ
こだわりがあります。
家庭料理にもお出汁を活用すると、ごはんがグンと美味しくなりますよ!
お出汁は基本的には昆布とかつお節から取りますが、最初は無添加の出汁パックで簡単に
取り、お味噌汁や煮物を作ってみてください。切り干し大根も、お出汁で炊くとまた一段
と美味しくなります。
そんな和食の大黒柱であるお出汁ですが、実は日本だからこそ発達した食文化でもあるの
です。本日は2つの理由をお伝えします。
1. 北日本の海域だからこそ取れる昆布
お出汁を取るときには、基本的には昆布とかつお節から取るとお伝えしましたが、干
ししいたけや煮干しからも美味しいお出汁を取ることができます。昆布と煮干しなど
、2つ以上の食材をかけ合わせて取るのが大事なのですが、いつも合わさるのは昆布
。つまり、昆布が和食の基礎になっています。お出汁に含まれるうま味成分グルタミ
ン酸の含有量は、どんな食材よりも昆布が断トツで1位!どんなお出汁食材とも相性
がいいので、お出汁を取るときには絶対にかかせません。
そんな昆布の産地は9割が北海道、残りの1割は青森・岩手などの東北地方や若干の中
国産です。
でも、たとえば海に潜ったりすると、昆布って世界問わずどこにでも生息しています
よね。なぜお出汁は北日本海域のものしかないのだと思われますか?
実は、美味しい昆布が育つ環境は、ミネラルなどの栄養素がたっぷりで水温が冷たい
海水と、ほどよく光合成ができるよう日差しが入る沿岸が最も適しており、これがま
さに日本の北海域なのです!そして、日本の職人さんたちの丁寧な作業により、美味
しい出汁昆布が完成します。昆布出汁を取る際には、水に浸してから火にかけ、沸騰
直前で取り出せばあっという間にできますが、すぐに取れるのは職人さんたちが時間
をかけて作ってくれているからです。そんなことを思い出して感謝しながらお出汁を
取っていきましょうね。
2. 自然が豊かだからこその恵まれた軟水
みなさまもご存じだと思いますが、日本は山や川など自然に囲まれているので水がき
れいです。和食は水の料理とも言われています。たとえば中華は火の料理といわれて
いて、油と火加減が重視される食文化ですね。日本はむしろ、油を使わなくても水、
つまりはお出汁の力で料理を美味しく作る技術が重視されます。
水道水も飲める国は他にないのではないでしょうか。世界的に見て、こんなにも安全
できれいな国は少ないと思います。
また、海外では少しくせのある硬水が主流ですが、日本は軟水。この軟水こそがお出
汁のうま味成分を抽出するもうひとつの必須条件なのです。
どんなに美味しい昆布を海外に持ち出しても、硬水を使うとマグネシウムなどのミネ
ラル成分が邪魔をしてうま味成分が溶け出さず、美味しいお出汁を取ることは難しい
です。
ちなみに関東と関西でも水の硬度は変わり、関西のほうが柔らかいのでお出汁のうま
味成分はより抽出できます。関東は少し硬いため、しっかりお出汁の味を出すために
かつお節が主流となり、関西よりも味が濃いと言われるのはそれが所以とも言われて
います。
いかがでしたでしょうか。お出汁から読み取る和食文化は、「日本の恵みに感謝」の一言
に尽きますね。お出汁の香りいっぱいのキッチンは幸せいっぱい、そして子どもの記憶に
深く刻まれます。家庭料理に少しでもお出汁を普及させ、お出汁文化を次世代につないで
いきましょう。