『医学・生物学の統一理論』
先日(3/27)の日経新聞に「日々、食べてヘルシーに」というタイトルでオイルの記事が載っていました。
食用油の市場が拡大しているとのことで、「ベーシック」(一般的なサラダ油など)、「プレミアム」(え
ごま油や亜麻仁油を含む高級オイル)、「オリーブオイル」、「ごま油」の合計売上を示した棒グラフで
は、2007年では1000億円ほどだったのが、2017年では1300億円程になっていました。
4部門の中のどこが増えたかを見ると、ベーシックが少し減って、プレミアムとごま油が少し増加、オ
リーブオイルが大幅に増加していました。
また記事では、日清オイリオ、日本製粉、J-オイルミルズの大手3社について、それぞれ以下のように
書かれていました。
日清オイリオは油が酸化しにくい製法や、空気を遮断しやすい鮮度キープのボトルに亜麻仁油やごま油、
オリーブオイル、マカダミアナッツオイルなどを入れた「鮮度のオイルシリーズ」を展開し、健康志向
の高い消費者の取り込みを進めている。
同社によると、2017年度の食用油の「かけるオイル」市場規模は、2013年度に比べて7割増の330億
円強になったとのこと。これは食用油市場の約4分の1を占めているそうで、「焼く」「揚げる」など
台所で使うだけでなく、食卓にも使用範囲が広がっている。油を料理にかけて食べる習慣は消費者に定
着しつつあり、今後も伸びが想定される。日清オイリオの鮮度のオイルシリーズも好調で、18年度上記
の売上高は前年同期比で7割増。
また日清オイリオはカゴメとの共同マーケティングにも取り組んでいて、トマトジュースにオリーブオ
イルを入れて飲んだり、トマト料理にかける食べ方を提案している。カゴメによると、オイルと合わせ
ることでトマトのリコピンの吸収が高まるとしている。
日本製粉は亜麻仁油に力を入れていて、油脂単体だけでなく亜麻仁油入りのドレッシングやマヨネーズ
なども展開し、幅広いラインナップで亜麻仁油の更なる新党を図っている。
J-オイルミルズも「健康アマニブレンド油」や「えごまブレンド油」アンドはいプレミアムブレンドオ
イルに力を入れている。同社によると家庭における油の使用実態に変化が出ており、ここ10年間で3割
増えて約3.4本になった。
J-オイルミルズの代表的な健康志向の食用油と言えば、コレステロールを下げるを下げる油であること
を前面に押し出した特定保健用食品「健康サララ」。大豆胚芽に含まれる植物ステロールの働きにより、
血中の総コレステロールやLDLコレステロールの吸収量が減る。健康意識の高い消費者の取り込みを狙
う。
この記事を読んで、色々なことを感じました。
まず日清オイリオの鮮度キープボトルについて。オイルは酸素・光・熱で酸化するので、その中の一つ
を遮断出来るのはとても良いと思います。ベストは遮光瓶ですが、普通のプラスチック容器のオイルを
使っていた方にはお勧め出来るし、企業努力を感じます。
日本製粉と言えば、亜麻仁油を一般の消費者へ広く知らしめたメーカーであり、その業績は素晴らしい
と思います。また日本アマニ協会設立にも関わっており、同協会では品質や製法に関する基準を設けて
クリアしたオイルには認定マークを授与するなど、市販される亜麻仁油の品質を保つための活動をして
いる他、年に数回開催されるアマニフォーラムを開催し、医師や研究者による講演を通して亜麻仁油の
普及に努めています。
J-オイルミルズは味の素のオイルメーカーでサラダ油からヘルシーオイルまで多彩な商品を揃えていま
す。
ただ、記事で紹介されている健康サララというのは大豆油のことで、植物ステロール含有量は多いけれ
ど、摂り過ぎが危惧されているリノール酸を50%以上含むので、健康になることを目的にして摂ること
で、マイナスの作用を生んでしまうことがあります。
実はJ-オイルミルズはハイプレミアムオイルシリーズで健康志向を意識して販売しているラインナップ
の中の、グレープシードオイルは70%、コーン油は60%がリノール酸なので注意が必要です。
また、同シリーズの「健康アマニブレンド油」に関しては、コーン油に亜麻仁油を30%加えた商品で、
1日大さじ1杯摂るとオメガ3の摂取目安量の85%が摂れるとしています。でもそうすると、その3倍以
上のリノール酸も摂ることになるのです。
J-オイルミルズさんの他のブレンドオイルも、正直あまりお勧め出来るものではありませんでした。
この新聞記事を読んで、オイルがただの潤滑油や調理の補助的な役割から、味わうものへと意識が変
わって来ていることを嬉しく思いましたが、それぞれのメーカーのウェブサイトを確認すると、企業に
よって様々であることも感じました。
消費者の健康を考えて質の良いものを出来るだけ低価格で市場に出そうという努力を感じるメーカーが
ある一方で、拡大する健康オイルブームを利用して、消費者の健康よりも売上を第一に考える企業体制
を感じるメーカーも。
こういうことをお伝えすると、メーカー批判だと言われることがありますが、企業としては利益を求め
るのはある意味当たり前なので批判するつもりはありません。
ただ、情報を伝えることで、私たち消費者がメーカー側の言うことだけを信じずに、自分で調べて選択
する努力が必要だということを共有したいな、と思っています。
今後まだ健康オイル市場は拡大すると言われていますが、市場が拡大すると粗悪品も出回りやすくなり
ます。メーカーは、商品のメリットだけを表現するので、その裏にあるデメリットは自分で調べないと
見えて来ません。
IBDのみなさんも、ぜひ調べてみて、何か分かったら大切な人へと伝えてください。その連鎖で賢い消
費者が増えれば、企業も変わると思います。
みなさんと一緒に、日本のオイル市場をより良いものへしていけたら嬉しいです。