皆さんおはようございます。
残すところ、後3週間ぐらいで2019年になりますね。それに向けて、大掃除やお正月の準備をしている地域があると思います。2019年の最初のイベントは勿論元日です。それを楽しみにしているのは、「お節料理」と「お年玉」でしょう。本日は「お節料理」についてお話ししますね。
⑴お節料理の由来
お節料理は、お正月に食べるお祝いの料理の事を言います。その起源は弥生時代からと言われています。当時の人々は、作物の収穫を季節ごとに神様に感謝していました。自然の恵みや収穫に感謝して神様に供えたものを「節供」、供えたものを料理して大漁や豊作を願い、自然の恵みに感謝して食べた料理を「節供料理」と言います。この節供料理がお節料理の始まりとされています。更に、中国から節句の行事が伝わると宮中では元旦や五節句の宮中行事の際に「節会」といわれる宴が催されるようになりました。現在、私たちが宮中行事を生活に取り入れるようになると、お節料理は全国的に広がっていきました。一年の節目で一番大切なお正月に食べる料理を「お節料理」と呼ぶようになったにもこの頃からとなります。
⑵お節料理の意味
お節料理は、正月の行事食ですが、重箱に詰められている料理や具材は、それぞれ意味を持っています。それでは、一般的な三段重の場合を例にして、1つずつ見ていきましょう。
①お節料理の一の重
一の重には、お屠蘇(とそ)を祝うための祝い肴(いわいさかな)や口取りを詰めます。
祝い肴について
〇数の子
数の子は、にしんの卵です。にしん(二親)は卵が多い(沢山の子が出る)ので、子宝や子孫繁栄を願う縁起物として食べられます。
〇田作り
昔々、田んぼの肥料として乾燥した鰯が使われていました。田作りという名前は、「田を作る」というところに由来しています。また、鰯の肥料を使った田んぼが豊作だったことから、別名「ごまめ(五万米)」とも呼ばれており、豊作を祈願する食べ物です。
〇黒豆
黒色は、道教において魔除けの色とされています。この一年まめ(まじめ)に働き、まめ(健康)に暮らせるようにと、邪気を払うことで無病息災を願った食べ物です。
〇たたきごぼう
ごぼうは、地中深く根を張るところから、家がその土地にしっかりと根を張って安泰にという願いが込められています。また、その色や形が黒い瑞鶏(豊作の象徴)に似ていることから豊作を願って食べられていました。また、別名「開きごぼう」とも言われ、運が開くという意味も持っています。
口取りについて
〇紅白かまぼこ
かまぼこの形が、初日の出の形に似ていることから用いられます。かまぼこの赤色は魔除けを、白色は清浄と神聖を表します。また、紅白で縁起が良いとされています。
〇伊達巻
伊達巻の伊達は、華やかさや派手さを表す言葉で、華やかな卵焼きという意味で伊達巻という名前が付いたと言われています。また、伊達政宗が魚のすり身に卵を混ぜて焼いたものを好んで食べていたという諸説があります。伊達巻の形が巻物に似ていることから文化の発展と学問や習い事の成就を願う食べ物です。
〇栗きんとん
きんとんは漢字で「金団」と書きます。その字の通り金の団子つまり金銀財宝を意味し、金運を呼ぶ縁起物です。
②お節料理の二の重
口代わりの酢の物や焼き物を詰めます。一の重に詰め切れなかったものや煮物を詰めても大丈夫です。
酢の物について
〇紅白なます
紅白の色は水引を表しており、平安と平和を願う縁起物です。
〇酢蓮
蓮根は、仏教で仏様のいる娯楽の池にあると言われており、穢れの無い植物とされています。沢山の穴があることから、将来の見直しがいいと言う縁起を担いだ食べ物です。
〇菊花蕪
旬の蕪をおめでたい菊の花に飾り切りにし、紅白の酢の物にしたものが菊花蕪です。長寿を願う縁起物として食べられます。
焼き物について
〇海老
海老の姿に例えて、腰が曲がるまで長生きしますようにと長寿を祈る食べ物です。海老の朱色は、晴れやかであることからお節料理に用いられるという説もあります。
〇鰤(ぶり)
鰤は成長とともに名前が変わる出世魚であることから出世を願って食べられます。
③お節料理の三の重
筑前煮や煮しめなどの季節料理をたっぷり使った煮物を詰めます。
〇昆布巻き
昆布は、養老昆布=よろこぶで不老長寿とお祝いの縁起物です。昆布に「子生(こぶ)」の字をあてて、子孫繁栄を願うものでもありますし、巻物に通じることから、伊達巻と同様に文化の反映や学問成就という意味も持っています。
〇煮しめ
根菜を中心とした野菜などを一緒に煮た煮しめには、家族が仲良く結ばれるという意味があります。
・里芋
親芋にたくさんの小芋がつくことから、子宝に恵まれますようにという願いが込められています。
・くわい
最初に大きな芽が出ることから「めでたい」にかけて、出世(芽が出る)を願った食べ物です。黄色に色付けする事で財を表し、お金や豊かさを祈願します。
・陣笠椎茸
椎茸の笠を陣笠に見立てたものです。神様へのお供えとして珍重されていた椎茸は、元気・壮健への願いが込められています。
・楯豆腐
煮詰めた高野豆腐に焼き目をつけることで楯に見立てて、家が守られるようにという祈りを込めたものです。
・手網こんにゃく
こんにゃくを手網に見立てたもので、手網を締めて、心を引き締め、己を厳しく戒め戦いに備える心を養うということを意味しています。また、「結び目」が「円満」と「良縁」に通じることから、縁を結ぶという縁起を担いで用いられます。
・梅花人参
梅は、花が咲くと必ず実を結ぶことから縁起物とされています。また、人参の赤色は寿を表すともいわれています。因みにですが、円くかたどった人参は、日の出人参と呼ばれます。まんまるは、良縁を意味するそうです。
・筍
筍は天に向かって伸び、成長が早いので、立身出世と子供がすくすく育つようにという意味が込められています。
最後に、お節料理は、お住まいの地域によって異なりますが、たくさんの願いが込められている食べ物です。
ちょっと早いですが、皆さんが愛ある2019年を迎えてくださいね。
では、よいお年を。