こんにちは。インナービューティープランナー、管理栄養士の吉井聡子です。
今日は、いわゆる「食育」について、考えてみましょう。
「食育」というと、どういうことを思い浮かべますか?
食育基本法では、食育を「様々な経験を通して『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」ものとしています。
日々のちょっとした出来事でも、実は食育なのです。
お食事の時間というとどんなイメージが湧いてきますか?
家族そろって「いただきます」をするシーン、友人と一緒にご飯を食べるシーン。ほっこり一息つくシーン。給食の時間。いろんな思い出が浮かんでくると思います。
食は、「何を食べたのか」「どんな味だったのか」だけでなく、「どんなふうに食べたのか」という点も、とても大切です。食事をした時の「楽しかった!」「嬉しかった!」という経験が、嗜好の形成にもつながります。
今の時代、お店に行ってお金を支払えば、様々な食品が手に入ります。
季節を問わず出回るお野菜、嗜好品、お惣菜、インスタント食品。
そんな飽食の時代だからこそ、私たちには「選択力」が必要です。自分や家族の体を自分たちで育む力です。それは「生きる力」に直結します。
子どもたちは、自分の力で食事のすべて選択することはまだ難しいですよね。
そんな子供たちに、大人である私たちができることはどんなことでしょうか?
子どもたちを輝く未来につなげるために、日々「食」から出来ることはとてもたくさんあります。嬉しいことにそれは、お金がかかることでも難しいことでもありません。
家族そろって「いただきます」をする。笑顔で食卓を囲む。ほんの些細なことでも子供たちの心や体を育みます。
さらに一歩進んで「一緒にお料理をする」ということはいかがでしょうか?
実は、ある研究でも調理経験が食事感(食事を楽しいと感じるか、お料理をすることは好きか)や自尊感情に対する関心に影響を及ぼすということが証明されています。
調理技術が高いほど、調理頻度が高く、過去にも食事作りや食事に関するお手伝いを良くしていたこと。また、子供たちは、調理を経験することで、自信度を高め、食事を楽しんでいる児童ほど、調理や食事の準備を良く行っていると報告しています。
また、調理経験は「他者への思いやり」にも強く影響を及ぼします。自分で作ったものを家族や友達に食べてもらい、「おいしい」と言ってもらえた時の喜びは「自分は大切な存在である」という自尊感情につながります。
お手伝いをすることで、「家族に喜んでもらえた」といった家族の役に立った喜びが観察され、自尊感情の向上が示唆さされました。
さらには、自尊感情が高い児童ほど、「勉強を楽しいと思う」、「授業を理解している」などの学習意欲が高いという報告があります。
また、調理が好きで良く実践する、食事を楽しいと思う児童ほど、「好きな教科がある」「学校に行くのが楽しみ」などの積極的な態度が高く、理科や算数などの理解度が高まったという報告もあります。
このように、台所での経験が、食事の質だけでなく、日々の日常の質までもを高めてくれるのです。
子どもたちが生きる力を身に着ける場所は、とても身近な「台所」にあります。
そして心と体を育む「食事の時間」。自分のなりたいを叶えるチャンスは、ここにギュッと詰まっています。
一日3回あるお食事のチャンスを、あなたは誰とどんなふうに過ごしますか?
どんなふうにお料理をしますか?
【参考文献】
掃部 美咲、吉本 優子、小松 万里子、八竹 美輝、森 加容子、渡邊 英美、
小切間 美保、
「小学生の家庭での調理経験が食事観、自尊感情、教科に対する関心に及ぼす影響」