【専門家コラム】菅原道仁先生

現役脳神経外科医が教える、正しいスマホの使い方

みなさんはスマホ、使っていますか? 私はけっこうヘビーなiPhoneユーザーでして、3Gの時代から新製品が出るたびに買い替え、使い続けています。とても重宝しているので、私の生活に欠かせないツールのひとつとなっています。

さて、このスマホを日常生活で使うことは、私たちの「脳力(のうぢから)」にどのような影響を与えるのでしょうか?

 

まずはその前に、「脳力」とはどのようなものなのかを考えてみましょう。

 

脳の機能は実にさまざまです。テストで合格点を取ること、人の名前を覚えること、仕事でいろいろなアイディアが出ること、イチロー選手のように運動能力が高いこと、モーツァルトのようにあふれんばかりの音楽センスがあること……いずれも「脳の力が優れている」ことの結果です。

 

まとめますと、いわゆる一般的に“頭がよい”といわれる「脳力」は、次の4つのタイプに分類できると考えます。

 

 

 

(1)記憶する力

 

(2)思い出す力

 

(3)理解する力

 

(4)ひらめく力

では、日常生活においてスマホを使い続けると、この4つの「脳力」にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

 

 

スマホには便利なアプリがたくさんあり、自分で情報を探しにいかなくても、興味のあるニュースを自動的に薦めてくれるといったものもあります。また、検索機能にいたっては、たった1文字入れるだけで、目的の検索すべき単語が出てきます。インターネット通販では過去の購入歴から、自分の好みのものを教えてくれたりと、スマホは本当に便利です。

 

 

 

しかし、このスマホの便利さに慣れてしまうと、(1)「記憶する力」と(2)「思い出す力」が低下してしまいます。

携帯電話を使い出したときのことを思い出してみてください。携帯電話を使う前は、友達の電話番号を10個くらいは覚えていたのではないでしょうか。しかしいまでは、自分の電話番号すら覚えていない人もいるそうです。携帯電話を使っていない時代は、友達の電話番号を覚えなければならない必然性があり、そして、電話をするたびに電話番号の記憶を定着させるという作業を無意識に行っていました。しかし携帯電話・スマホが進化して便利になると、電話番号を覚えるという行為をスマホが代行してくれるようになります。となると、「記憶する力」と「思い出す力」が衰えてしまうのは仕方のないことなのかもしれません。

 

 

 

スマホがこれだけ進化して便利になった世の中で、私たちはどのように頭を使えばよいのでしょうか。それは残り2つの「脳力」、(3)「理解する力」と(4)「ひらめく力」を意識して使うことです。

例えば、配信されたニュースを鵜呑みにするのではなく、自分で考えて情報源を調べたり、ブログやFacebookなどを使って、情報や自らの考えを創造・発信していく、といった能動的な行動が大事になってきます。

この「理解する力」と「ひらめく力」は、いまを生きる社会人にとって必須の「脳力」です。ぜひ、今日から意識して活用してみてください。

脳神経外科医 菅原道仁

職   業 菅原脳神経外科クリニック院長 杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門とし、国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの救急医療現場を経験。 外来診療は月に延べ1500人ほどを診察する時期もあったが、ひとりひとり責任をもって診察をするために2015年6月に八王子市内で小規模ながら大病院並みの検査機器を揃えたクリニックを開業。 「病気になる前にとりくむべき医療がある」との信条で、新しい健康管理方法である予想医学を研究・実践している。元・日本健康教育振興協会
保 有 資 格 脳神経外科専門医 体育協会公認スポーツドクター 抗加齢医学専門医
ブ ロ グ http://www.diamondblog.jp/official/michihito/
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