【植物油の機能性成分】
植物油の主成分は脂肪酸なので、大抵はどんな脂肪酸をどのくらい含むかによってオイルを選べば良い
のですが、オイルによっては脂肪酸以外に素晴らしい機能性を持つ微量成分を含むものがあるので、そ
の場合は脂肪酸+微量成分でオイルを選ぶ必要があるということを前回書きました。
亜麻仁油に含まれるセコイソラリシレシノールのエトロゲン様作用、エゴマ油に含まれるルテオリン、
ロズマリン酸の抗アレルギー作用をご紹介しましたが、植物油の中で最も微量成分が重要視されるオイ
ルは、オリーブオイルと米油です。
オリーブオイルには200種類ほどのファイトケミカルが含まれると言われていますが、特に重要なのが ポリフェノール類のオレウロペインとオレオカンタールです。これはどちらも強力な抗酸化作用があり、 更にオレウロペインはLDLコレステロール低下作用、動脈硬化抑制作用、メラニン生成抑制作用を、オ レオカンタールには抗腫瘍作用、抗炎症作用があり、近年ではアルツハイマー型認知症の予防作用や抗 がん作用なども認められています。 古くから、オリーブオイルを多用する地中海では心臓疾患が少ないことが知られていて、少し前までそ れはオリーブオイルの主成分のオレイン酸の作用だと考えられていましたが、ポリフェノールなどの ファイトケミカルの研究が進み、近年ではオレイン酸よりもファイトケミカルによる作用が強いのでは ないか、と言われています。
これらの成分は、完熟して黒くなったオリーブの実よりも、若いグリーンの実に多く含まれており、完 熟オリーブオイルより早積みオリーブオイルの方が9倍ほど含有量が高いと言われています。 オリーブオイルのピリリとした苦辛い味は、これらの成分の味です。
大変機能性が高く、医療界からも注目されている成分なのですが、エクストラバージンオリーブオイル
にしか含まれていません。
ただ、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、残念ながら日本で流通しているエクストラバージン
オリーブオイルの約8割が偽物とも言われているため、オレウロペインやオレオカンタールをほとんど
含まないオイルもあります。
厄介なことに、高価なら安心というものでもないので分かりやすい判断基準がないため、恐らく、数あ
る植物油の中でオリーブオイルが一番選ぶのが難しいでしょう。私も以前は買ってからガッカリするこ
とが度々あったので、今は信頼できるメーカーをいくつか見つけて、それをローテーションで使うよう
にしています。
最近は酸度やオレオカンタールの量を測定して、ラベルに表示したりウェブサイトで公表しているメー
カーもありますので、そういうものも参考にして選ぶと良いと思います。
植物にとって、脂肪酸は主にエネルギー源として使われますが、ファイトケミカルは植物が外敵や紫外
線から身を守るために作り出した成分であり、微量でもとても強力です。
せっかく植物油を摂るなら、少し意識を向けて、ぜひこの貴重なファイトケミカルを含む高品質なオイ
ルを選んでいただきたいと思います。
次回は米油の機能性成分について書きます。