本日は脳神経外科医である菅原道仁先生のコラムをお届けします。それでわ、ご覧下さい。
■いつでもチャレンジする
今までの人生において、みなさんはいろいろな「決断」をしたことでしょう。いま、考えてみると、その決断において、あのときああしておけばよかったというような後悔はありませんか?新たなことにチャレンジしなかった理由はなんでしょうか。
私たちは、新しいことに挑戦して、「失敗なんかしたくない。傷つきたくなんかない。」と思うものです。恐怖や不安感が襲ってきて、「やらなければ、失敗することはない」と考えてしまうでしょう。そしてこの思考が自分を守る最良の方法のように思えてきます。
1995年にギロヴィッチらが発表した後悔の心理学の研究があります。彼らはみんなに自分の人生を振り返ったときに公開したことは何かを答えてもらいました。その結果、学校で真面目に勉強しなかった、大事なチャンスをモノにしなかった、友人や家族を大事にしなかったなどというやらなかったことに対する後悔が75%を占めたそうです。残りの25%はやったことに対する後悔でした。挑戦をしてからの失敗には学びがありますし、後悔の幅は限定的です。一方、挑戦をしなかった場合、学びがありませんし、後悔は際限なくやってきます。アメリカの詩人である、 ジョン・グリーンリーフ・ホイッティアーが、 こんな詩を残しています。
「すべての悲しい言葉の中で、最も悲しいのは、 『あのときああしていたら・・・』という言葉」
失敗のリスクを避けるのではなく成功する可能性にかける。私たち人間は思ってる以上に大きな事を成し遂げる力を持っているのです。「歳だから」ということばに甘んじてはいけません。心のなかにある恐怖感、不安感と向きあうこと。自分自身を心から信じること。この前向きな感情こそがハッピーで彩りのある人生には必須な心構えなのです。
■とにかくやってみよう~作業興奮
そうは言っても、やる気も出ないし、新たなことにチャレンジできないよって思われるかもしれません。やる気が出るまでまってくれといいたい人もいるかも知れません。でも、ちょっとまってください。人間の脳は基本的に怠け者ですから、いつまでたってもやる気はでないようになっているんです。キーワードは「作業興奮」です。たとえば、掃除を始めたら、止まらなくなった経験はありませんか?人間のヤル気というものは、体を動かすことで発動します。やる気が出るから私たちは行動をするのではなく、行動をするとやる気がついてくるんです。ですから、お子さん、お孫さんの夏休みの宿題をさせるには、本人のやる気を待っててはいけません。とりあえず、勉強机に向かわせること。それがコツなんです。
だから私たちが新しいことにチャレンジするには、兎にも角にも、やってみることなんです。いろいろな困難や不安が頭をよぎるでしょう。失敗したら恥ずかしいとか、楽な人生を送りたいと思うかもしれません。しかし、私たちの身に降りかかる試練は自分自身を知るための、大きな大きなチャンスなので、チャレンジし続ける人生を送りましょう。乗り越えられない試練は、絶対に、絶対にありません。