【専門家ナビ】物忘れと気持ちの密接な関係

本日は脳神経外科医である菅原道仁先生のコラムをお届けします。
それではご覧下さいませ♪

■物忘れと気持ちの密接な関係

最近、記憶力が落ちたと自覚している方は多いのではないでしょうか。日々の診療をしていますと、物忘れの悩みを抱いている人が増えたように思えます。

どうして、私たちは、年を重ねると記憶が落ちてしまうのでしょうか。その秘密を解く鍵は、私たちの脳の仕組みにあります。私たちの脳には海馬という記憶の中枢があります。海馬は私たちの周りにあふれる情報の中で、大事なものと大事なものではないものを選別する記憶の番人のような仕事を担っています。

長期に覚えておかなくては行けないものと、忘れていいものをどうやって選別しているかといいますと、「命に関わる重要な情報かどうか」というところなんです。たとえば、人の名前を忘れても命にかかわりませんが、この道の先はよく自動車がスピードを出して走っているのであぶなといったことをすぐに忘れてしまうと命に関わる問題ですから、なかなか忘れにくい記憶となるのです。それでは、この海馬に重要な情報だとおもわせるにはどうしたらよいかというと、「繰り返し、思い出すこと」。

例えば漢字。私は漢字博士と呼ばれていましたが、いまはかけない漢字のほうが多い気がします。便利な世の中になって、ワープロというものが開発されました。これがまさに原因です。読むことは、いつもやっていますが、書くことはワープロ任せ。だから、かけない漢字が多くなってきたんです。

■マンネリはボケる!?

それでは、繰り返し思い出すことが記憶力を高める方法しかないのでしょうか?

いえいえ、それだけではありません。ここでとっておきの記憶術をお教えしましょう。キーワードは、ドキドキ・ワクワクです。ドキドキ・ワクワクという好奇心を持っている状態ですと、シータ波という脳波が出て記憶が定着しやすいのです。興味が有ることはすぐに覚えられるというのは、シータ波のおかげなんです。

ただ、人生長くなってくると、いろいろなことが当たり前になり、新鮮味が薄れてきます。初めて経験することが少なくなっていることでしょう。そして、人間は年を重ねると、保守的になり自分の殻に閉じこもりがちです。これが物忘れの原因です。人生がマンネリ化すると、一気に記憶力が低下します。この世の中にはたくさんたくさん面白いこと、珍しいこと、ビックリすること、まだまだ、たくさんあります。自分の殻を破って、お孫さんの聞いている音楽に興味を持ってみてはどうですか?テレビゲームだっていいですし、ファッションを真似してみてもいいでしょう。いつもの散歩道を変えてみませんか?いつもの散歩道を歩いていたって興味を持って歩いていると、違いを見つけることができるはずです。

たった一度の人生じゃないですか。自分のカラを破って、外に出ましょう。ドキドキ・ワクワクして、自分を変えてみましょう。マンネリ化した人生、変わることを拒否する人生には発展も成長もないのでご注意を!

脳神経外科医 菅原道仁

職   業 菅原脳神経外科クリニック院長 杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門とし、国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの救急医療現場を経験。 外来診療は月に延べ1500人ほどを診察する時期もあったが、ひとりひとり責任をもって診察をするために2015年6月に八王子市内で小規模ながら大病院並みの検査機器を揃えたクリニックを開業。 「病気になる前にとりくむべき医療がある」との信条で、新しい健康管理方法である予想医学を研究・実践している。元・日本健康教育振興協会
保 有 資 格 脳神経外科専門医 体育協会公認スポーツドクター 抗加齢医学専門医
ブ ロ グ http://www.diamondblog.jp/official/michihito/
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