【専門家ナビ】体を動かすことは「脳力」アップ!

■肥満は、「脳力」を落としてしまう

我々の「脳力」を大きく落としかねない病気、それが脳の血管の病気です。

脳の血管が詰まったり、破れてしまったりすると、脳細胞がダメージを受けて、手足が動かなくなったり、考える力が落ちてしまうので、我々は、この病気を引き起こさないような予防をしていかなくてはなりません。

そのキーワードは血管が固くなって弾力が低下してしまう「動脈硬化」。

この動脈硬化を引き起こす要因の一つが「肥満」です。みなさんは、20代の頃の体重と比べて、どのくらい体重が増えてしまったでしょうか?自分の適正体重を大きく超えてしまうと、動脈硬化が進行してしまいます。ですから、体重をあの頃の自分に近づけることが、脳の血管の病気を防ぐ第一歩なのです。

 

■食べ物のカロリーバランスがあなたの体重を決める

みなさん、だれもが一度はダイエットをしたことがあると思います。

ダイエット本も書店に行けば山のように売っていますよね?りんごがいいと聞けばりんごが売れ、納豆がいいといえば納豆がスーパーから消え、ダイエットの話題は、我々の心を掴んで離しません。

ダイエットは難しくもなんとも無いんです。体重が減る仕組みは唯の一つ、とるカロリーを減らすか、出すカロリーを増やすしかないのです。

よく外来診療で、私は水を飲んでも太りますと言う方がいらっしゃいます。それは、嘘です。水は0kcalですから絶対に太りません。もし体重が増えたならそれは「浮腫んでいる」というんです。もしそうなら、心臓や腎臓の病気を調べてもらいましょう。

現代社会は飽食の時代と言われています。私達の身体は、原始時代の頃から飢餓状態をベースに進化してきました。だから、ここ30年くらいの食生活の変化についていけず、肥満になる人達が増えてきました。

毎日50kcalずつ、自分に必要なカロリーよりも余分にとっていたら、なんと10年後には20kgも体重が増えるのです。ちょっとしたカロリーオーバーで、10年で20kgも増えてしまうのです。

ですから、みなさんは腹八分ではなく腹六分を目指しましょう。そのくらいがちょうどいいんです。そうすれば、「動脈硬化」を防ぐことができるのです。

  

■体を動かすことは「脳力」アップ!

さて、みなさん、最近、身体を動かしていますか?

現代社会はとにかく運動不足になりやすい社会になりました。統計によると40年前の40%しか我々は身体を動かしていないようです。これではいけません。

寝たきり生活の原因として一番多いのは脳の病気ですが、二番目は、転倒、骨折なんです。運動不足の現代社会で転倒する危険性は、年に一回の運動会でお父さんが張り切りすぎて転ぶことを考えればごくごく当たり前ですよね。

ただ、運動をする時間がとれないという人がいるでしょう。スポーツクラブに入会しただけで満足している人がいるくらいな世の中ですから。

私がお勧めする方法は、日常生活に身体を動かすことを組み込むこと。安売りのスーパーが遠くても歩いて行ってみるとか、バス停を1つや2つ手前で降りてみるとか、犬の散歩を率先してやるとか、エスカレーター・エレベーターを使わないとかいろいろ有るはずです。

体を動かして、筋力が付けば、身体がカロリーを消費してくれるので、太りにくい身体にもなりますし、運動は脳の力を上げてくれる方法の一つです。脳トレをやるよりも効果がありますので、ぜひ、体を動かすことを率先してやってみましょう。

 

 

脳神経外科医 菅原道仁

職   業 ・菅原脳神経外科クリニック院長 杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門とし、国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの救急医療現場を経験。 外来診療は月に延べ1500人ほどを診察する時期もあったが、ひとりひとり責任をもって診察をするために2015年6月に八王子市内で小規模ながら大病院並みの検査機器を揃えたクリニックを開業。 「病気になる前にとりくむべき医療がある」との信条で、新しい健康管理方法である予想医学を研究・実践している。元・日本健康教育振興協会会長。
保 有 資 格 脳神経外科専門医 体育協会公認スポーツドクター 抗加齢医学専門医
ブ ロ グ http://www.diamondblog.jp/official/michihito/
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