【専門家ナビ】今を生きる

人間はだれしも不安感を持って生きているものです。不安感というものは無ければ無いほうがいいのですが、その不安感を分析すると、漠然とした遠い未来の不安であることが多くはないでしょうか?診察中、良く聞かれる悩みはこうです。「先生、私は脳梗塞になりませんよね?」「私はボケてしまうのではないでしょうか?」確かに、先の未来を知りたいというのは人間の性です。私も不安になることがあります。当たり前の話ですが、明日のことはだれにもわからないんです。ガンジーは、こう言っています。
 
「明日、死ぬかのように生きなさい。 永遠に生きるかのように学びなさい」
 
だれにも未来はわからないんです。ということは、わからないことに関して不安を感じていて、ビクビクするよりも、「今」できることをしましょう。逆に言うと、未来がわからないからこそ、人生は面白いとも考えられませんか?レールを敷かれた人生は面白くないし、そもそも、未来がわかってしまったら、答えの分かっているテストのようなもので、だれも努力をしなくなります。
 
今を生きること。今日という日を充実させましょう。それでは、具体的にはどうするか?私が実践しているのは、朝起きて、鏡の前で「ありがとう」とニコッと笑ってみましょう。人間というのは、楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいという生き物なのです。ですから、目覚まし時計でいやいや起きるのではなく、朝鏡の前で、新しい朝をむかえることに感謝しつつ笑うことは、大脳の報酬系という快感をつかさどる神経が活性化され、たのしく前向きな気持になれるのです。
 
このコラムを通じて、私たちの脳は、幸せ脳になればなるほど、脳力がアップするということを知ってもらいました。そして、具体的には、運動をすること、空腹と満腹を作ること、美しいと感じることの3つが前頭葉の力をアップさせてくれます。そして、何よりも大事なのは、生涯現役をモットーに、他者との絆を深める、街に出よう、旅に出ようということです。
 
そして、Yes、WE CAN。私たちはできるんです。気分のムラがあったり、スランプに陥ることもあるでしょう。だけど、愚痴らない。愚痴ったって何も始まりません。毎日悩んでいる問題は、ほんの少し頑張れば出来る問題です。だれも、日本の景気回復を私たちにすぐに解決してくれと頼んでいるわけではないんです。出来ない理由を考えることを「言い訳」といい、ちっとも脳力が上がりません。私たちはどんな問題に対しても出来る理由を考えましょう。それが、「工夫」とよばれる行為です。
 
「あなたには脳力がある」
 
私たちには、どんなコンピューターが束になっても勝てない脳を、みんな、一つずつ持っているのです。それを鍛えるのも自分、錆びさせるのも自分です。
 
自分を信じて。あなたには、かならず、脳力(のうぢから)がある。

 

 

 

脳神経外科医 菅原道仁

職   業 ・菅原脳神経外科クリニック院長 杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門とし、国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの救急医療現場を経験。 外来診療は月に延べ1500人ほどを診察する時期もあったが、ひとりひとり責任をもって診察をするために2015年6月に八王子市内で小規模ながら大病院並みの検査機器を揃えたクリニックを開業。 「病気になる前にとりくむべき医療がある」との信条で、新しい健康管理方法である予想医学を研究・実践している。元・日本健康教育振興協会会長。
保 有 資 格 脳神経外科専門医 体育協会公認スポーツドクター 抗加齢医学専門医
ブ ロ グ http://www.diamondblog.jp/official/michihito/
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